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研究業績集

研究業績集

2018.01.29

おさふねクリニックと岡山大学、新柏クリニック(千葉県柏市)らとの共同研究の成果が日本糖尿病学会の英文誌Diabetolgy Internationalに掲載されました(Nakamura,A.,Kodera,R.,Sakamoto,N.et al.Diabetol Int(2018)https://doi.org/10.1007/s13340-018-0342-6

糖尿病の患者さんの治療評価として最も重要なヘモグロビンA1c(HbA1c)、健診でも糖尿病を疑う指数として皆さんご存知と思います。血糖コントロールの指標であるHbA1c値は過去1~2ヶ月の平均血糖値を表すとされていますが、その一方で、HbA1c値は貧血などの様々な要因により平均血糖値を正しく反映しないことも分かっています。腎不全や血液透析を受けている末期腎疾患の患者さんでは貧血の合併などによりHbA1c値が低値を示す傾向にあります。この場合、同じ血糖コントロールの指標であるグリコアルブミン(GA)が有用であると言われてきました。しかし、GA値も様々な要因で平均血糖値を正しく反映しなくなる可能性が指摘されており、日本腎臓学会のガイドラインでは末期腎疾患の患者さんのHbA1c値とGA値は血糖コントロールの指標として“参考程度”とされました。末期腎疾患の患者さんの平均血糖値を適切かつ簡便に示す指標が望まれました。

私たちは、末期腎疾患を合併する2型糖尿病患者さんのHbA1c値とGA値を調査しました。腎機能正常の患者さんに比べ末期腎疾患の患者さんではHbA1c値が低くなるのみならず、初めてGA値が高くなることを見出しました(Fig. 2)。さらに私たちは、GA値からHbA1c値を算出する全く新しい計算方法eHbA1c-1を編み出しました。

そして、eHbA1c-1値が糖尿病の診断に利用可能であること、腎機能正常な患者さんと末期腎疾患を合併する患者さんでほぼ同じ値を示すこと、貧血やその治療、末期腎疾患の影響を受けないことを見出しました。

eHbA1c-1を用いれば、末期腎疾患を合併する糖尿病患者さんにおいても腎機能正常な糖尿病患者さんと同程度のHbA1c値を推算可能となります。末期腎疾患を合併する糖尿病患者さんにとって日常診療に有用な血糖コントロールの指標となる可能性があると考えます。今後もさらに研究を進めていきたいと思います。(院長)

https://doi.org/10.1007/s13340-018-0342-6で抄録を閲覧できます。

 

 

 

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